
直売所やスーパーの棚で、「原木しいたけ」と書かれた札を見かけることがあります。
通販サイトをのぞけば、しいたけを育てるための「原木」そのものが売られていたりもします。
丸太に穴を開けて、そこからしいたけが顔を出している写真。
見ているうちに、ふと引っかかるのです。
「あの原木って、そもそも何の木なんだろう」
言われてみれば、松でも杉でもなさそうな、あの太めの丸太。
今回は、その「しいたけの原木は何の木なのか」そして「なぜその木が適しているか」まで紐解いていこうと思います。
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しいたけの原木は、クヌギとコナラ
まず結論からお伝えします。
しいたけの原木としてよく使われるのは、クヌギとコナラ。
どちらも、秋になるとドングリを落とす、あの仲間の木ですね。
植物の分類でいうと、ブナ科コナラ属という同じグループに入ります。
言ってみれば、しいたけの原木は「ドングリのなる木」なのです。
栽培に使う丸太は「ほだ木」とも呼ばれます。
もちろんクヌギとコナラが二枚看板ですが、これ一択というわけでもありません。
アベマキやカシワといった、同じドングリの仲間が使われることもあります。
とはいえ、生産の統計では、原木のおよそ98%がクヌギとコナラとされています。
まず名前を挙げるなら、この2つで外れはなさそうです。

なぜ、クヌギやコナラなのか
では、どうしてこの木たちが選ばれるのでしょう。
理由は大きくふたつあります。
ひとつ目は、しいたけという生き物の暮らし方です。
きのこというと、土の栄養で育つ野菜の仲間のようにも思えますが、そうではありません。
しいたけの菌は木そのものを少しずつ分解しながら、栄養にして育っていくのです。
つまり、木の内側が畑になっているわけですね。
だから原木には、菌がじっくり根を張れて、簡単には朽ちてしまわない木が向いています。


クヌギやコナラは、そこそこ硬くて中身が詰まっていて、樹皮もしっかりしています。
とくにクヌギの樹皮は厚めでコルクのよう。
菌が住みつき、時間をかけて育つには、都合のいい木とされています。
ふたつ目は、手に入れやすさです。
クヌギもコナラも、里山の雑木林でごくありふれた木。
炭や薪の材料として、昔から人の手で伐られ、また育てられてきた木でもあります。
身近にたくさんあって、なおかつ菌がよく育つ。
このふたつがそろっていたことが、原木の定番になった大きな理由なのでしょう。
もちろん、原木としての性格において、クヌギとコナラで違う点もあります。
クヌギは太く育ちやすく、しいたけの収量も多い傾向。
コナラは伐ったあとの再生が速く、ほだ木として扱いやすい傾向、といった具合です。
どちらが良いかは土地柄や使い方にもよるので、ここでは「どちらもよく使われる仲間」くらいに思っておくとよさそうです。

↑クヌギの木

↑コナラの木
「原木」という言葉が教えてくれること
ところで、なぜわざわざ「原木しいたけ」と名乗るのでしょうか。
いまスーパーで見かけるしいたけの多くは、おがくずなどを固めた「菌床」で育てられたものです。
それに対して、昔ながらに丸太で育てたものが「原木しいたけ」。
この「丸太で育てる」には、思いのほか時間がかかります。
菌床のしいたけは、菌を植えてから数か月で収穫が始まるといわれます。
一方の原木は、しいたけが出はじめるまで、およそ2年。
菌がゆっくり木の中に広がるのを、じっと待つ栽培なのです。
「原木しいたけ」の表示は、クヌギやコナラの丸太と、それだけの時間をかけて育てましたよ、という目印なのですね。

↑菌床しいたけ
まとめ|しいたけの原木は、ドングリのなる木
しいたけの原木は何の木か──
答えは、クヌギとコナラでした。
どちらもドングリのなる木で、菌がじっくり育ち、里山で手に入れやすかった。
それが定番になった理由です。
次に「原木しいたけ」の札を見かけたら、その裏にある原木たちの方も、少しだけ思い出してあげてください。


