キャラクターこけしの魅力を支える“水木(ミズキ)”という木

この木だからこそ、生まれた工芸がある。

この工芸には、この木じゃなきゃダメだった──

日本には、そんな「木と手しごと」が響き合うものづくりが、たくさんあります。

「木と工芸の共鳴」みたいなものでしょうか。

最近、ふたたび人気を集めている “こけし” も、そのひとつです。

伝統こけしの魅力に加えて、いろいろなキャラクターとのコラボで進化した ”いまのこけし” も話題になっています。

「素朴で、ちょこんとしてて、かわいい」──だけじゃない。

その独特の存在感は、もはや、ぬいぐるみカテゴリーのなかの新ジャンル。

そんなこけしの魅力を昔から今まで支えていた木があります。

その名は “水木(ミズキ)” 。

今回は、そんな “こけし” と ”水木(ミズキ)”の関係について、少しのぞいてみようと思います。

後半には、ちょっと気になるキャラクターこけしたちもご紹介しますので、よかったら最後までのんびりお付き合いください。

もくめディア
目次

伝統工芸こけしの魅力とは

最近、あらためて注目されはじめている “こけし”。

インテリアとして飾る方も増えていますし、

海外では「Japanese Kokeshi」として人気を集めているそうです。

しかし、“こけし” は、どうしてこんなに “惹きつける力” があるのでしょうか。

その存在を、ただの「木のお人形」と片付けるのは、なんだか野暮な気がします。

・手のひらに自然にフィットするサイズ感。

・ころんとした丸みに、すべすべとした肌。

・最近では、キャラクター性を楽しむ “コレクション性” も。

つい手にとってみたくなるような、不思議な存在感。

それはきっと、「目で愛でる」「手で愛でる」「飾って愛でる」──

そんなふうに、人の五感すべてに寄り添うものだからかもしれません。

さらに考えてみると、その五感に訴える力を作り出している“素材”にも実は大きな秘密がありそうです。

そしてその素材こそが、“ミズキ”という木。

次の章では、そのミズキについて、もう少し深く見ていきたいと思います。

↑ミズキの肌目

水木(ミズキ)の特徴とこけし

こけしを “こけしらしく” していく “ミズキ” という木。

このミズキには、こんな特徴があります。

・材の色が白っぽい

・年輪が目立たない

・程よい硬さ

・狂い(反り、割れ)が少ない

これだけではちょっと分かりづらいかもしれませんので、もう少し噛みくだいてみましょう。

白っぽい材色 → 絵付けがきれいに映える

年輪が目立たない → 肌目がきめ細かく、表情がやわらかく見える

程よい硬さ → 刃物の通りがよく、細かな加工がしやすい

狂いが少ない → 乾燥後も変形しづらく、商品として安定する

どうでしょうか。

つまり──肌がなめらかで、化粧ノリもよく、長く安定して使える。

「こけし向き」どころか、こけしの魅力を引き出すために選ばれた木だったのかもしれません。

木と工芸が出会うとき、そこには、素材の特性と、工芸の魅力が “ぴたり” とはまるケースがあります。

ミズキとこけしの関係は、まさにそんな “最高の出会い” のひとつなんだと思います。

水木(ミズキ)でつくられる今のこけし

水木(ミズキ)という木は、こけしを伝統工芸として、特別に魅力あるものにしてきました。

そして最近では、そのこけしにちょっとした “遊び心” が加わるようになってきています。

それが、「キャラクターこけし」。

「伝統とキャラものって、合うの?」

──と思いきや、これが意外と、とてもいい。

こけしならではの “ちょこんと感” が、キャラクターたちをほどよく “おとぼけ” に、でもちゃんと “かわいく” アレンジしてくれているんです。

元のキャラの雰囲気を大切にしつつ、ちゃんと “こけしの品格” もある。

そんな、完成度の高いキャラクターこけしを、いくつかご紹介してみたいと思います。

①“スターウォーズ” こけし

スターウォーズのこけし。

あのR2D2やC3PO、ときには敵キャラもまでが、仲良く並ぶこの感じは、こけしならでは。

②“ミッフィー” こけし

ミッフィーの白っぽい感じが出せるのも水木(ミズキ)だからこそ。

ぬいぐるみもいいですが、こけしの “落ち着き” もまた違う良さがあります

③“バカボンのパパ” こけし

バカボンのパパをぬいぐるみにするのは難しいでしょう。

でもこけしは、その難しさ不思議と解決しています。

“おとぼけ感” がこけしという媒体とうまくフィットしているのかもしれませんね。

④“ナイトメアー ジャック” こけし

ティムバートン監督のナイトメアーにでてくる主人公 “ジャック” のこけし。

元々のキャラクターの良さも引きながら、こけしならではの丸みを帯びました。

⑤“スパイダーマン” こけし

海外のスーパーヒーローも、日本の伝統文化こけしと出会いました。

強そうで、でも弱そうで。

そのバランスがとてもかわいく思えます。

⑥“ムーミン リトルミイ” こけし

このキャラクターも見逃せません。

どうやら人(ひと)ベースのキャラクターは、こけしと相性がいいように思えてきます。

⑦“ゲゲゲの鬼太郎 ねずみ男” こけし

ねずみ男の “ずる賢さ” も、こけしになることで、丸みをもちますね。

まとめ|ミズキがこけしを、こけしがキャラクターをつくった

いかがだったでしょうか。

こけしのやさしい表情、すべすべとした肌ざわり──

その魅力を支えているのは、ミズキという木の特性でした。

白くてなめらか、加工しやすくて、くるいも少ない。

まさに、こけしにぴったりの素材。

そんな「木と伝統の共鳴」は、いまやキャラクターという新しい表情をまとって、さらに広がっています。

そして、そのクオリティを見れば見るほど、こけしという存在が、ただの人形ではなく、人の心に響かせるものをもった“工芸”なのだと、あらためて感じさせられます。

【補足】水木の名前の由来について

さて、それにしても、「水木(ミズキ)」って、ちょっと不思議な名前ではないでしょうか。

この木の名前には、ちゃんと“理由” があるのです。

春先、まだ葉を出す前の時期、ミズキの幹や枝に少し傷をつけると、じわり、と水のような樹液があふれてきます。

これは、ミズキが水を吸い上げる力がとても強い木だからです。

根からたっぷり水を吸い上げて、それを枝の先までしっかり届けていくーー

そんな特徴から、「水の木」=「水木(ミズキ)」と名づけられたといわれています。

ちなみに、似たような現象が起きる木として、カエデの仲間があります。

カエデの樹液に甘みがあり、あの有名な「メープルシロップ」になるわけですね。

一方のミズキの樹液は、甘くはありません。ちょっとした余談でした。

もくめディア

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この記事を書いた人

ユカワニ
ユカワニ

木が大好きな一級建築士。トリとイノシシと一緒に木の学びをお伝え。

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