
「お部屋に置いておくと、空気をすっきりさせてくれる?」
「食べられるって本当?」
最近、いろいろな場所で見かける「竹炭(たけすみ)」。
なんとなく体に良さそう、エコで万能そうなイメージがありますね。
ただ“万能そう”がゆえに、その実態に疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな竹炭が「なぜ、そんなに使えるのか?」という“根本の理由”から、今日からできる賢い使い方、知られざる歴史や環境問題との関わりまでをお話ししようかと思います。












そもそも竹炭(たけすみ)とは?
まずは、竹炭という存在の根本的な部分から。
あのバーベキューでよく使う“木炭”とは、いったい何が違うのでしょうか。
日本人と炭の歴史と竹炭
簡単な時代の流れから見てみます。
日本における炭の歴史は非常に古く、旧石器時代や縄文時代の遺跡の炉跡からも木炭が発見されています。
それも「燃料」としてだけでなく、なんと「湿気対策」にも利用されてきたといわれます。
現代でも、床下の調湿材として木炭が使われることがありますが、昔の人も、炭が持つ「調湿」の性質を経験から知っていたのですね。
さて、その一方で、木炭に比べると、竹炭が生活用品や環境資材として広く注目されるようになったのは、比較的近年のこと。
いってしまえば後発組です。
(その考察はまた別の記事で書こうと思います。)
木炭という大先輩がいる中で、後発の竹炭が近年注目を集めているのは、あるユニークな構造を持っているためです。
最大の個性は、無数の穴を持つ「多孔質」
竹炭が持つ最大の個性は、その構造にあります。
竹を炭化させることで、表面に目には見えないミクロの穴がびっしりと空いた「多孔質(たこうしつ)」という状態になります。
このミクロの穴は、いわば目に見えない小さな空き部屋のようなもの。
この空き部屋がとても多いとどうなるでしょうか?
そう、これが空気中のニオイ成分や湿気などを物理的にキャッチする力に直結するのです。

竹炭の驚くべき効果|3つの基本的な働き
竹炭の構造がわかったところで、次はそれが私たちの生活でどのように働くのかを見ていきましょう。
① 【消臭】ニオイのキャッチャーとして
さきほどもお話ししましたね。
ミクロの空き部屋は、空気中の嫌なニオイ成分を吸着する働きを持っています。
ニオイの元となる成分が竹炭の穴に入り込むことで、結果として空間の空気をすっきりと保つ手助けをしてくれます。
② 【調湿】湿気を吸ったり吐いたりする天然のスポンジ
さらに、この穴は、周囲の湿気が多いときには水分を吸い込み、逆に空気が乾燥しているときには取り込んでいた水分を放出してくれます。
そう、“じめじめ空間”をスッキリ整えてくれるわけです。
それも電気不要、ガス不要というエコさです。
③ 水や土の環境を整える
空間だけでなく、水や土の中でも竹炭の多孔質は大活躍。
水道水にポンと入れると、カルキ臭を和らげてくれます。
また細かく砕いて畑の土に混ぜることで、微生物の住み家となり土壌環境を整える手助けもしてくれます。

今日からできる|暮らしの中での竹炭の使い方集と注意点
竹炭の働きを理解すれば、あとはそれを日々の生活にどう当てはめていくかです。
ここからは、具体的な使い方と、安全に使うための大切な注意点をご紹介します。
①空間の空気を整える(冷蔵庫・靴箱・クローゼットなど)
まずは、竹炭の効果の一丁目一番地の使い方です。
冷蔵庫、靴箱、トイレなど、ニオイがこもりやすい場所には、ぜひ竹炭を。
クローゼットや押し入れなど、湿気が気になる場所にも、ぜひ竹炭を。
普段使う場所あるいは使うもの、そのまわりにある空気がスッキリする──
それは、暮らしの好循環のスイッチになるかもしれません。
ただし、竹炭の吸着・調湿効果は永遠に続くわけではありません。
月に数回、天日干しをして風通しの良い場所で乾燥させてあげてください。
しっかり乾かすことで、湿気でふさがっていた小さな空き部屋がまた使いやすくなり、吸着・調湿の働きが戻りやすくなります。

② 水をまろやかに、お風呂を心地よく
次は水を整える使い方です。
炊飯用として販売されている竹炭をお米と一緒に入れてみる。
飲料水用の竹炭をピッチャーに入れて水道水のにおいを和らげる。
また、お風呂に竹炭を浮かべて、心地よいバスタイムを楽しむ。
きっと、シャキッとした少し神聖なリフレッシュを感じられるはずです。

③食用の竹炭パウダーと、服薬に関する注意点
また最近では、「竹炭パウダー」を見かけることも多くなりました。
パンやお菓子を黒く色づける食品添加物(植物炭末色素)としての役割ですね。
ただし、ここでひとつちょっとした注意点。
服薬中の方、治療中の方、妊娠中の方、小さなお子様に与える場合などは、自己判断で日常的に摂取せず、必ず医師や薬剤師に相談を。
竹炭は良くも悪くも、いろいろなものを吸着します。
そのため、お薬の成分まで一緒に吸着してしまい、薬の効き目を下げてしまう可能性があるようです。

↑竹炭のベーグル
④役目を終えたら、土へ還す(土壌改良材として)
消臭用や調湿用として数ヶ月から半年ほど使い、天日干しをしても効果が薄れてきたと感じたら、それは寿命のサインです。
使い終わった竹炭は、捨てずに細かく砕いてお庭の土やプランターに。
無数の穴が土の中の有益な微生物のすみかになり、土壌改良材として再利用できます。
最後まで無駄なく使い切り、自然に還すことができる美しい循環です。
【コラム】よく聞く「遠赤外線効果」って本当?
さて、竹炭についてインターネットで調べると、
「お風呂に入れると遠赤外線で体がポカポカになる」
「遠赤外線でご飯が美味しく炊ける」
そんな話をよく目にします。
ただこの話、少しだけ誤解が混ざっているみたいです。
炭火焼きのように高温で赤々と燃やしている時は、確かに強力な遠赤外線が出ます。
しかし、お風呂の温度や常温の状態では、その事象はあまりないようです。
では、なぜお湯が柔らかく感じたり、ご飯が美味しく感じたりするか。
その理由としては、遠赤外線というよりも、竹炭の多孔質によるもの。
先ほどもお話ししたように、水道水のにおいが和らぐことや、炭に含まれる成分が水にわずかに溶け出すことなどが理由のようです。
遠赤外線にたよらなくても、竹炭の効果は抜群なのですね。
環境問題と竹炭|「放置竹林」という現代の課題
最後に少しだけ環境面のお話を。
私たちが竹炭の存在を知り、生活に取り入れることは、実は日本の山が抱える問題を少しだけ良い方向へ向かわせるキッカケになります。
竹は成長がとても早いです。
地下茎(ちかけい)というネットワークで、どんどんクローンが生み出されるイメージです。
そのため、人の手で適切に管理されないと周囲の森林にどんどん侵入し、他の植物の成長を妨げてしまいます。
時には土砂災害すら引き起こします。
これを竹害(ちくがい)と呼びます。
もうご理解いただけたかと思います。
放置された竹林を伐採し、それを燃やして竹炭として活用することは、荒れた山を整理し、元の豊かな森を守るための大切な活動なのです。

↑放置竹林
まとめ
竹炭のお話し、いかがだったでしょうか。
ミクロの空き部屋をたくさん持ち、空気のみならず水までスッキリさせる。
それに役目を終えれば土を豊かにし、さらには放置竹林という社会課題の解決にも繋がる。
大変エコで奥深い自然素材だったのですね。



