
「なんじゃもんじゃ」の木。
なんとも不思議で、一度聞いたら忘れられない呪文のような言葉。
けれど、「じゃあ、それってどんな木?」と聞かれると、実際の姿や正体を知らない方は多いのではないでしょうか。
今回はそんな、“名前勝ち”の木である「なんじゃもんじゃ」の正体から、その面白い由来、そして一度は見てみたいお花見スポットまでお伝えしていきます。








誰もが知る名前だけど…「なんじゃもんじゃの木」の正体とは?
実は「特定の品種」を指す名前ではなかった!
辞書や植物の図鑑で「なんじゃもんじゃ」と引いてみると、その名前を探し当てることができません。
そう実は、植物学的に「なんじゃもんじゃ」という名前の木があるわけではないのです。
「なんじゃもんじゃの木」とは(特定の品種を指す正式名ではなく)名前のわからない大きな木や、見慣れない立派な木に対して、地域の人々が親しみを込めて呼んできた愛称のようなものだったのです。
その代表格は「ヒトツバタゴ」
では、現代の私たちがその名で呼んで親しんでいる木の正体は一体何なのでしょうか。
その代表格が、モクセイ科の落葉高木である「ヒトツバタゴ」です。
日本国内では、愛知県・岐阜県・長野県の木曽川中流域周辺と、長崎県対馬市など、ごく限られた地域に自生しています。
環境省レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類に指定されている、とても希少な木でもあります。
また、白い花が雪のように見えることから、園芸的に「スノーフラワー」と紹介されることもあります。
なんじゃもんじゃという少しとぼけた呼び名と、スノーフラワーという美しいイメージ。 この落差こそが、この木の魅力の第一歩と言えるでしょう。

↑なんじゃもんじゃ「ヒトツバタゴ」
なんじゃもんじゃの木(ヒトツバタゴ)はどんな木?
まるで雪景色!開花時期と美しい白い花の特徴
ヒトツバタゴの開花時期は、地域にもよりますが、4月下旬から5月中旬ごろです。
初夏の入口に、プロペラのような細長い花びらを無数に咲かせます。
それはまるで、初夏の青空の下、突然その木だけが真冬の雪化粧をしたかのような不思議な光景です。
そして散り際も美しく、風に吹かれるとくるくると花びらが舞い落ちていきます。

↑ヒトツバタゴの花びら
なんじゃもんじゃの「花言葉」
これほど美しい花を咲かせる木ですから、花言葉も気になるところ。
ヒトツバタゴの花言葉としては「清廉」が紹介されることがあります。 清廉とは、心が清らかで私欲がないことを意味します。
初夏の風に揺れる純白の花の姿を見ると、この言葉がぴったりだと納得できるはずです。
ちょっとふざけた名前の裏にある、まっすぐで清潔感のある素顔。 そのギャップを知ると、ますますこの木の虜になっていきそうです。
なぜそんな変な名前に?|「なんじゃもんじゃ」の面白い由来
水戸黄門が名付け親!?
その呼び名の由来としてよく語られるのが、千葉県神崎町の神崎神社に伝わる、水戸黄門こと徳川光圀公の逸話です。
光圀公が境内の大木を見て「この木は何というものじゃ」と尋ねたところ、地元の人も名前を知りませんでした。
答えに困って「なんじゃもんじゃ(何というものでしょうか)」と返したことから、そう呼ばれるようになったというお話です。
ただし、ここで面白いのは、神崎神社の「なんじゃもんじゃ」はヒトツバタゴではなく、クスノキの大木だということ。
つまりこの逸話は、ヒトツバタゴそのものの名前の由来というより、「名前のわからない立派な木を、なんじゃもんじゃと呼んできた」という昔の感覚を伝えるお話とも言えそうです。

地域によって違う?全国の「なんじゃもんじゃ」
このように、「なんじゃもんじゃ」はもともと、ひとつの種類だけを指す名前ではありません。
神崎神社ではクスノキでしたが、地域によってはニレやイヌザクラなど、別の木が「なんじゃもんじゃ」と呼ばれることもあります。
そして現在、その代表格として広く知られているのが、白い花を咲かせるヒトツバタゴなのです。
こう考えると「なんじゃもんじゃ」とは「わからないけれど、なんだかすごい木」に対して与えられた、ある種の称号のようなものだったのかもしれません。
現在でも、全国各地にその土地ならではの「なんじゃもんじゃの木」が大切に守られています。

↑神崎神社のクスノキ
実際に見に行こう!なんじゃもんじゃの木の名所
深大寺(東京)のなんじゃもんじゃ
お話ばかりではもったいないので、実際に雪のような花を咲かせるヒトツバタゴを見に行ける名所をご紹介します。
東京都調布市にある深大寺は、関東でも有数のスポット。 本堂の前にそびえ立つ大きななんじゃもんじゃの木は、ゴールデンウィークの時期に見頃を迎える年が多くあります。
歴史あるお寺の風景の中に、真っ白な花が咲き乱れる様子は、どこか別の世界に迷い込んだような美しさです。 美味しい深大寺そばを楽しんだあとに、この白い景色を見上げるのは、素晴らしい休日のお散歩コースになります。

↑深大寺のなんじゃもんじゃ
埼玉や千葉など、関東近郊のスポット
東京以外にも、関東近郊でなんじゃもんじゃの木を楽しめる場所があります。
例えば、埼玉県の県営みさと公園には、とても立派なヒトツバタゴが植えられており、地域の人々の目を楽しませています。
そして、名付け親とも言われる黄門様の逸話が残る千葉県神崎町の神崎神社。 こちらはクスノキですが、歴史のロマンを感じるスポットとしておすすめです。
まとめ
「なんじゃもんじゃ」という言葉の響きから始まった今回の謎解き、いかがだったでしょうか。 その正体は、もともとは特定の植物ではなく、名前のわからない立派な木を呼ぶ愛称でした。
そして現在、その代表格として私たちを楽しませてくれているのが、美しい白い花を咲かせる「ヒトツバタゴ」です。
ちょっと間の抜けた名前と、息をのむような花の美しさ。 そして、水戸黄門まで登場する歴史の面白さ。 ただの植物という枠を超えて、物語が詰まった特別な木のように思えてきませんか。
初夏の訪れを感じる季節になったら、ぜひお近くの「なんじゃもんじゃの木」を探しに出かけてみてください。
きっと、その見事な姿に「なんじゃもんじゃ!!」と声を上げてしまうことでしょう。



