
「夜になると葉が閉じる」観葉植物がある?!
そんな情報をテレビやSNSで知った方も多いのではないでしょうか。
シダのような細かい葉っぱたちが揃いも揃って夜になると眠りにつく。
そうかと思えば、朝になるとまた広がる。
まるで、人の暮らしのリズムと合わせるような、嘘のような本当の話をもつ植物です。
今回のテーマは、そんなエバーフレッシュについてです。
「なぜ夜に葉を閉じるのか?」「そもそもどんな木なのか?」など、その正体を掘り下げてみようかと思います。
エバーフレッシュとは、どんな木?
「エバーフレッシュ」という名前は、日本でつけられた?!
まず、エバーフレッシュという名前について。
エバー(永遠に)+フレッシュ(新鮮)…
なんだか造語的であり“上手く出来すぎ”な名前に感じませんか。
そう、実はこの名前、現地の言葉ではありません。
日本での流通名・商品名として定着した名前で、いわば日本市場向けの愛称なのです。
その学名はCojoba arborea(コジョバ・アルボレア)と表記されることが多いです。(arboreaとはラテン語で「樹木の」「木のような」という意味を持ちます。)
エバーフレッシュという名前とは対照的な、なかなか“骨太な響き”です。
恐らく「コジョバ・アルボレア」という名前のままでは、こんなに流行ることもなかったのではないでしょうか。

原産地では、森に立つ大木だった
ここで少し意外な話。
恐らくエバーフレッシュをご存知の方は、1〜2メートルほどの“かわいらしい”鉢植え、という印象をお持ちではないでしょうか。
そう、お部屋にも収まるインテリア向きの木、というイメージです。
ところが原産地(中南米の熱帯・亜熱帯地域)でのエバーフレッシュには、その印象は見事に破壊されます。
なんと、環境次第で10メートルを超えることもある高木として自生しているのです。
熱帯雨林の中に普通に立っている、れっきとした「森の木」なのです。
なんだか分かってきましたね。
日本には観葉植物として輸入されてきた経緯があり、「エバーフレッシュ」という名前も含めて、“日本向けに整えられた“マーケティング的な姿が、私たちが抱いているエバーフレッシュの印象だったのです。

マメ科の植物だった、という意外な素性
そしてもうひとつ、エバーフレッシュは「マメ科」にあたる植物です。
繊細なふわふわの葉からは、どちらかというと熱帯のシダ植物や、エキゾチックな何かを想像してしまいます。
しかし分類上は、大豆や枝豆と同じなのです。
なぜ夜になると葉を閉じるのか
「就眠運動」という名の、植物の夜の行動
ここで、エバーフレッシュの最大の特徴について触れていきたいと思います。
“夜に葉を閉じる”就眠運動(しゅうみんうんどう)についてです。
その仕組みの根幹にあるのは、葉の付け根にある「葉枕(ようちん)」と呼ばれる部分。
ここが、昼夜の光のリズムに応じて膨らんだりしぼんだりすることで、葉の角度が変わるわけです。
光が十分にある昼間は葉枕が張りを持って葉を広げ、光が弱くなる夜になると葉枕がゆるんで葉が閉じる。
この繰り返しが、あの「眠るような動き」を作り出しているのです。

↑夕方になり葉がとじたエバーフレッシュ
なぜ閉じるのか。その理由は、まだ完全にはわかっていない
それでは、なぜそのような就眠運動が行われるのか?
その「目的」については、いくつかの説があります。
・夜間の蒸散を防ぐためという説。
・夜露が葉に溜まるのを防ぐためという説。
・光合成ができない夜間に葉を動かすエネルギーを節約するためという説。
どれも「はぁ〜、なるほど」というような、一定の説得力を持っていますね。
しかし、実のところ「これが答えだ!!!」と断言できるほどには解明されていないのが現状のようです。
長い時間をかけて植物が身につけた行動に、まだ人間の理解が追いついていない部分がある。
ポジティブに捉えれば、そういった事実も、エバーフレッシュの魅惑なのかもしれません。

室内では「夜を感じられない」ことがある
また“残念なお知らせ”のような話ですが、エバーフレッシュが「夜になっても葉を閉じない」ということも起こりえます。
ただ、これは「選んだエバーフレッシュが“怠けた種類だった”」わけではありません。
それには、照明環境に原因がありそうです。
昼も夜も照明がついている室内環境は、エバーフレッシュが「夜になった」と判断しにくい環境なのです。
反対に言えば、毎晩ちゃんと葉を閉じているなら、この木は昼と夜のリズムをきちんと受け取っているということになります。

ネムノキ、そしてオジギソウ|「眠る木」の仲間たち
ネムノキ|同じ「眠る木」の仲間
エバーフレッシュと同じマメ科ネムノキ亜科に属する木として、日本ではネムノキが知られています。
夏になると淡いピンクの花を咲かせ、日が沈むと葉を閉じる。
その姿が「眠っているよう」に見えることから「眠りの木(ねむのき)」という名前がついたとされています。
古来には、なんとあの“万葉集”にも「合歓木(ねむのき)」として歌に詠まれてきました。
エバーフレッシュが現代の部屋の中で葉を閉じる行動は、日本人が古くから見てきたネムノキの姿と、実は地続き。
それもなんだか味わい深くて素敵なものです。
ネムノキの歴史や文化的な背景については、もくめディアの別記事でも詳しく取り上げています。

↑ネムノキ
オジギソウとの違い|触れても閉じるタイプ
「葉が動く植物」として、オジギソウを思い浮かべる方もいるのではないでしょうか。
面白いのは、オジギソウは“触れたときの刺激(物理的な接触)”も、葉が閉じるトリガーになります。
同じ「眠る動き」でも、反応する幅が違う。
植物の中にも、それぞれの感覚の回路があるということですね。

↑オジギソウ
あのふわふわの正体|エバーフレッシュの花と実の話
あのふわふわは、花びらじゃなかった
エバーフレッシュの花を見たことがあるでしょうか。
パウダーパフのような、淡いクリーム色の小さなボール状の花が枝先に咲きます。
実は、あのふわふわの正体は、花びらではありません。
その正体は、雄しべが放射状に広がったもの。
中心から細い糸のような雄しべがいくつも伸び、それが球状に集まることで、あのふんわりとした丸い印象ができあがっています。
これはマメ科ネムノキ亜科に特徴的な花の形で、ネムノキの花もよく見ると同じような構造です。
花びらが目立つのではなく、雄しべが主役になる。
そういう花の作り方をする仲間なのです。
開花時期は主に夏ですが、室内で管理している場合には咲かないこともあります。

花の後には、赤い実がなる
エバーフレッシュを長く育てている方でも、実の存在を知らない方は少なくないかもしれません。
実は、花が終わったころに、細長いさやのような実がつきます。
そして、熟すにつれて鮮やかな赤に変わっていき、その赤いさやがはじけると、中から種が出てくる仕組みです。
エバーフレッシュの花言葉
エバーフレッシュの花言葉は、「胸のときめき」や「歓喜」など。
なんとも人気が出そうな、そして女子ウケが良さそうな花言葉です。
ただ斜(しゃ)に構えた見方をすると、さきほどのマーケティング要素が詰め込まれた木だからこそ、「売るための謳い文句」のひとつにも、感じられてしまいます…
しかし、夜に眠り、朝に目覚め、夏には小さな花を咲かせる──
そういうこの木の生き方を思えば、「胸のときめき」という言葉も、なんとなく似合っている気がしなくもありません。
風水と、この木が持つとされるエネルギー
「木のエネルギー」を持つとされる観葉植物
(こういったブログを書いていると検索数というものを見るのですが)
「エバーフレッシュ 風水」という検索数が一定数あり、この木には風水的な観点から関心を持つ方も多いようです。
風水の考え方では、植物は「木のエネルギー」を持つものとして扱われることが多く、成長・発展・生命力を象徴するとされることがあります。
エバーフレッシュも、その丸みを帯びた葉の形や旺盛な生育力から、そういった文脈で語られることがあるようです。
置き場所としてはリビングや玄関、そして「陽の気を取り込みやすい」という見方をする人もいるそうです。
エバーフレッシュと暮らす前に知っておきたいこと
置く場所と光、水やりのこと
エバーフレッシュは、明るい室内を好みます。
直射日光が長時間当たる場所は葉焼けの原因になることがあるため、レースカーテン越しの柔らかい光が届くような場所が理想的。
窓から離れすぎた暗い場所では、生育が鈍くなり、葉の色つやも失われやすくなります。
昼と夜の光量差がある場所に置くことが、この木らしいリズムを保つことにもつながります。
水やりは、土の表面が乾いたらたっぷりと与えるのが基本。
常に湿った状態を保つのではなく、乾いたことを確認してから水を与えるサイクルを守ることが、根腐れを防ぐうえで大切です。

成長が早い木という感覚を
エバーフレッシュは、観葉植物の中でも成長が比較的早い部類に入ります。
購入時は部屋に収まるサイズであっても、成長に合わせてしっかりとした剪定や、1〜2年での植え替えが必要になることも
でも逆に言えば、成長がわかりやすい木は「育てている実感」がある木でもあります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
その“マーケティング的”な名前から、元来の大きさ、その生態系まで、いろいろと触れてきました。
植物が時間を刻んでいる──
実はその生き方は、一緒に暮らす人間に対してこそ、効果があるかもしれません。
ただしいリズム感で「気が整う」感覚を取り戻させてくれるのです。
寝るのが遅い、仕事で疲れた、スマホ漬けで体がダルい…
そんな方こそ、エバーフレッシュの“陽の気”をもらいつつ、本来の自分のリズムに軌道修正していくことができるかもしれません。



