
「大きな木はないか?!」
これは人と木材の歴史には必ず出てくる“願い”でした。
例えば日本の歴史では、人は造船や寺院建築のため、巨木を求め伐採地を広げてきました。
これだけ“求められた”背景には、木材の“重さのわりに強い”という性質がありました。
しかしその一方で、その“大きさ”についてはどうしようもありません。
昔の人からすると、魔法でも使わない限り、元の木の大きさ以上の木材は作れません。
だけども大きな材料が欲しい──
そういった願いから考え出されたのが“木質建材”です。
合板、集成材、MDF、OSB…など、
木を加工して繋ぎ、使いやすい性質と大きさに整えた材料たち。
今回は、そんな“木質建材”についてスポットライトを当て、色々な木質建材の個性をまとめてみようかと思います。



“木質建材”が生み出した可能性
「自由自在にその大きさをコントロールしたい」
万能な木だからこそ、そんな“エゴにも見える発想”が広がりました。
これが木質建材の出発点です。
しかし、木質建材開発で到達したものは、決して“大きさの克服”だけに止まりませんでした。

エゴエゴ!!



これはエゴだナ〜



ゴメン、でも“それだけ”じゃないんだよ
“大きさ(幅、太さ)”への克服
木材は、幅や太さなど、元の木の大きさ以上にはとれません。
それに、いくら大きな木が山にあったとしても、それを運び出すこともまた困難なことでした。
こういった理由から「求められる大きさ・長さを、求められるだけ用意する」
というのはエネルギーがいるばかりか、そもそも不可能なことも多かったのです。
“安定性”への克服
木はその使う“向き”によって、強さや性質が異なります。
ストロー状の細胞が多数集まってできた木は、繊維方向には強いものの、そうでない方向はあまり強く有りません。
また、同じ木でも強い部分と弱い部分があります。
つまり、木を使うということは、その特性を踏まえた使い方と“選定眼”が必要だったわけです。
こうした“材料としての安定性”も、“大きさへの願い”と同じく、克服したいテーマでした。
余すことなく使えるように
そしてもうひとつ大きなポイントがあります。
“資源を使い切る”という視点です。
木も魚と同じで『大トロの部分だけ食べてあとを捨てる』なんてことは、資源の活用の観点から好ましく有りません。
木のままだと破棄するしかないトコロも、有効活用する技術があるとしたら、それは是非とも取り入れたいものでした。



どう?エゴだけじゃなくない?



大トロ以外残すのはダメだと思う!オレ、納得した!



イノシシお前、聞きワケが良すぎるゾ
それぞれ建材の違いと特徴
それではここからは色々な“木質建材”とその特徴を見ていきましょう。
①集成材




集成材とは、板状にした木材(これを『ラミナ』といいます)を、繊維方向が平行になるように積み重ねて接着したもの。
無垢材が丸太の大きさを限度に制限されるのに対し
集成材は幅、厚さ、そして長さもラミナを継いでいけることから、製材では得られない大きさのものを生産することが可能です。
“構造用”集成材として建築材料に使われたり、“造作用”集成材として家具などに使わたり、本当に活躍の幅が広い材料です。



これホームセンターとかでもよく見るヤツだね!



そうだね、普通に生活してても目に入ることが多い材料だね



この前行った、カフェのカウンターこれだったよナ?
②LVL




丸太の皮を剥いた後、うすくカツラ剥きにしたシート状のものを“単板(ベニヤ)”といいます。
この単板を、繊維方向が平行になるように積み重ねて接着した材料がLVLです。
“単板”は曲がりや細りのある丸太からも作ることができるため、製材を採取できないような木材からも確保できるため、資源を有効に利用することができます。



ダメな木からも作れるってこと?



ダメではないけど、無垢材を取り出しにくい木からも作れるみたい



こんな大根みたいに、木を剥けるのカ?
③合板




合板は、“短板(ベニヤ)”を繊維方向を交互に直交させて積み重ね、熱圧縮により接着した材料です。
合板は単板の繊維方向を直交させていることから、異方性(向きによる強さのアンバランスさ)が小さいため、反りや変形などが起こりにくいなどの安定性が高いのも特徴的です。
昔は建築の見えない部分に使われる材料でしたが、最近はリノベーションで“その荒みのある表情”を見えるところに使うなど、使用用途も広がっています。



ナルホド。計算された強さだナ



こういった作りで木の“異方性”が克服されたわけなんだ



オレ、この木目好きだ
④OSB(構造用パネル)


OSBボードの材料になるのは、“ストランド”と呼ばれる木材から削りだされた比較的大きな小片(正確には、長さ:15~25㎝、幅:長さの1/3以下、厚さ0.6mmのサイズです)です。
この“ストランド”を繊維方向を揃えて一つの層をつくり、その層を交互の直行させながら作られるのがOSBボードです。
“ストランド”というのは、大きな丸太でなく小径の木材からも確保できるので、小さく曲がった木でも無駄にすることはありません。
【補足】OSBの難点
このOSBはある程度大きめの木材小片を使い、繊維方向をそろえることで合板に近い強度になっていますが、製造時に大きな圧縮変形を受けているため、合板と比較して寸法の安定性は低いのが難点です。
その改善策として、製品の小口面に防水塗装が施されることが多いです。



オレ、あんまり見たことないかもしれない



たしかに日本よりも北米で広く使われてるボードだね



日本が湿気多いとか関係あるのカ〜?
⑤パーティクルボード


パーテイクルボードとは、木材を削ったり、または破砕して得られる“パーティクル(小片)”から作られます。
乾燥させた“パーティクル”に接着剤を吹き付け、マット状にした後、熱圧締により圧縮成型して製造される。
“パーテイクル”は木材チップから加工されるため、その原料の幅は広いです。
しかし構成要素が小さく製造時に大きな圧縮変形を受けているため、合板と比較して強度・寸法安定性能は低くなります。
⑥繊維板(ファイバーボード)|MDF


繊維板(ファイバーボード)の材料になるのは、木材チップを蒸煮した後に、おろし金状の装置でほぐした“繊維(ファイバー)”です。
繊維板(ファイバーボード)はその密度によって区分され、軽いものから順に、低密度繊維板、中密度繊維板、高密度繊維板とされます。
JIS規格では、それぞれ
・インシュレーションボード
・MDF
・ハードボード
と呼ばれます。MDFとは、『medium density fiberboard(ミディアムデンシティファイバーボード)』の略称です。
MDFは、乾燥した“繊維(ファイバー)”に接着剤を吹き付け、マット状にしたのち、熱圧縮して作ります。
⑦CLT




CLTとは、“cross-laminated timber(クロスラミネイティドティンバー)”の略称で、日本農林規格(JAS 3079)では直交集成板と呼ばれます。
ヨーロッパで開発された木質建材で、集成材と同じく“ラミナ”を構成要素です。
集成材と異なるのは、ラミナを並列することで単層を構成し、その単層をその層を交互の直行させながら作られている点です。



またゴツいのがでてきたナ〜、集成材の親玉みたいなもんだナ



このおかげで、大きな木造建築物が作れるようになってきているといってもいいんだ



強そう!!オレがともだち連れてきて乗っても大丈夫そうだね
まとめ|主要建材一覧
いかがでしたでしょうか。
木質建材とは、木という素晴らしい資源を、無駄なく、そしてより良く活用するための工夫だったのです。
昨今の大きな木造建築物たちは、これらの建材の技術なしには考えられません。
また、合板やOSB材は素材感・テクスチャーから“デザイン性”という役割も担うことになり、使われる幅が広がってきました。
木の活用におけるバラエティの広がり───今後も目が離せません。



よし分かった。“エゴ”発言は撤回してやるカ〜



ありがとう。木という資源をムダにしない工夫でもあったの分かってくれたかな。



オレ、大きな木の家にすみたくなってきた!!












