
クリスマスを彩るクリスマスリース。
それにはよく“トゲトゲした葉っぱ=柊(ひいらぎ)の葉”がついています。
この名前には、「冬の木」という意味と、もうひとつ“別の意味”があります。
それは「疼(ひひら)く」「疼(ひいら)ぐ」という古語の“痛む”という意味。
葉の縁には鋭いトゲが並び、触れると痛い──
そんな所からきています。
しかし、西洋、東洋問わず、その“痛み”は、昔の人にとっては、“悪いものを追い払ってくれる力”でした。
今回はそんな柊(ひいらぎ)について、その特徴や歴史的に使われてきた話まで、ゆったり掘り下げてみようかと思います。



柊のトゲが鬼の目を刺す?|日本での柊
①鬼の目を刺す木?

柊(ひいらぎ)はモクセイ科モクセイ属の常緑小高木。
冬でも青々とした葉を保ち、刈り込みにもよく耐えるため、昔から垣根(生け垣)として重宝されてきました。
そして、その硬い葉の“トゲ”には、ある力があると信じられてきました。
門から入ってくる鬼の目を刺す
いまほど科学が進んでいない時代、やはり“悪い何か”を追い払う力は、とても重要な心の支えだったのです。
特に節分の夜に行う、柊の枝先にイワシの頭を刺して玄関に飾る「柊鰯(ひいらぎいわし)」という風習はその最上級。
江戸時代の百科事典『和漢三才図会』にも、「節分の夜に柊の枝先にイワシの頭を刺し、邪気を祓う」と記されています。
強い香りを放つイワシの頭と、トゲのある柊の葉。
この組み合わせは、鬼や悪霊を寄せつけない“最強の護り”とされていたのです。

このトゲトゲにそんな力があるんだね!



にしても、これは呪術的な感じがすごいゾ。



でも、目に見えない病や不幸とかは怖かったと思うよ!


↑鰯柊
② ネズミも避ける、不思議な力
また“見えない何か”以外にも、その効果があると信じられてきました。
それはネズミです。
昔の家では、「ネズミが壁に開けた穴のそばに柊の枝を置くと、そこから出入りしなくなる」
そんな言い伝えもありました。
まさにトゲの一本一本が、家をまもる小さな結界だったのです。
クリスマスリースにはなぜ柊(ひいらぎ)?|西洋での柊
クリスマスの飾りでよく見かける“赤い実のヒイラギ”は、実は日本の柊とは別の種類です。
こちらは「セイヨウヒイラギ(ヒイラギモチ)」という、モチノキ科の植物。
しかし“その使われた方”は意外にも日本と同じです。
“悪いもの”を追い払う──そんな願いが込められていたのです。
ここでもう少しだけクリスマスと柊の関係について見てみましょう。
クリスマスリースに柊が使われる理由、それをざっくりと並べるとこんな感じです。
①古くから、悪いものを寄せつけない魔除けの植物とされていた
②キリスト教では、イエスの受難を象徴する植物とされていた
③冬でも青々と葉を茂らせる常緑樹で、永遠や希望を表す
④赤い実と緑の葉が、クリスマスの色合いにぴったりだった



ヨーロッパでも同じように使われてたとは驚きだナ



どこの世界にも“悪霊的なもの”がいた証拠でもあるね



オレ、そういう話こわい。。。
①悪いものを寄せつけない魔除けの植物として
ちょっと精神的な話ですが、寒い地域の人たちは、冬になると少し迷信深くなると言われています。
暗い時間が長い季節は、「見えないもの」に気持ちが向くからでしょうか。
こういった時期には特に、柊のトゲが“悪いものを寄せつけない頼もしさ”に見えたようです。
そんなことからか、ヨーロッパでは、柊は魔除けの植物として玄関に飾られていました。
②イエスの受難を象徴する植物として
クリスマスの飾りに柊が多いのは、宗教的な意味も背景にあります。
葉のトゲは、キリストが受けた「いばらの冠」を表すものとされ、赤い実は“流れた血”に見立てられました。
ただ、この話は決して“重いもの”として語られてきたわけではありません。
むしろ“忘れないための記号”のようなもので、季節がめぐるごとに、人々が思いをつなぐための植物としてリースに組み込まれるようになりました。
③④冬でも青々と葉を茂らせる常緑樹と赤い実
また柊のもつ“常緑性”と冬にも輝く赤い実が、キリスト教の“永遠の命”と重ねられ、クリスマスリースに使われるようになったとも言われています。
“永遠”の意味を持つリースの丸い形とともに、一緒に落とし込まれたのも納得がいきます。


↑クリスマスリースに使われるセイヨウヒイラギ
“トゲトゲしさ”も“まるく”なる|柊のトゲ
実はこの柊(ひいらぎ)、“ずっと尖っている”わけではありません。
若い時はその葉にトゲが多く、年を重ねるにつれてトゲが少なくなり、丸みを帯びていくのです。
まるで人が人生の中で角を削り、やわらかくなっていくような、そんな感じもみてとれます。



こんなにトゲトゲなのが丸くなるの?



生意気な若造がいずれ落ち着くと同じ原理だナ



その“原理”かは分かんないけど、ヒトと似てるよね


↑柊の垣根
まとめ|境界線を護る
家具として、床材として、建材として──
そのように“木材の用途”で万国共通に使われる木は多いです。
しかし、人々の“願い”として、海をまたぎ、同じように使われていた珍しい木。
それが柊(ひいらぎ)だったのです。
“トゲの痛み”は、誰かを護るためのカタチ。
どこかで柊(ひいらぎ)を見かけたら、そんな事を思い出していただけると嬉しいです。












