
北海道観光の見どころのひとつ、”ケンとメリーの木”。
美瑛の丘を走っていると、ぽつんと一本だけ立つその木が、遠くからでもすぐに目に入ります。
背景が大きく抜けているぶん、その輪郭がはっきり浮かびあがります。
ただ、観光地としてはよく知られていても、
「どんな木なの?」「なんでここに一本だけ?」
そんな素朴な疑問が、そのままになっている人も多いかもしれません。
今回は、この木がもつ背景と、その木の“性格”をお伝えしてまいります。



ケンとメリーとは一体”なにもの”?
おそらく、ほとんどの方がこう思われたと思います。
ケンとメリーって誰?──
名前の由来は1972年から始まった日産スカイラインのCMまで遡ります。
当時の日産スカイラインは4代目。
通称「ケンメリ」と呼ばれ、そのCMを彩った架空のカップルがケンとメリーです。
そして、美瑛の丘を舞台に、このカップルがこの木を背景に登場したことから、
“ケンとメリーの木”と呼ばれるようになったといいます。


ちなみに、このシリーズ人気すぎて“2代目”ケンとメリーもいたらしいよ



CMがバズってたわけだナ



“スカイラインの木”にはならなかったんだね
ケンとメリーの木は“なんの木”?
ケンとメリーの木は“セイヨウハコヤナギ”というポプラの仲間です。
ポプラらしいすらりとした姿で、空に向かってのびていくようなシルエットをしています。
風が吹くと葉の裏側が白く光り、木全体が軽く揺れるように見えます。
開拓期の“防風林”としての役割
そしてこのポプラ──
“たまたまCMに起用された木”というわけでもなさそうです。
実は美瑛という場所と歴史的なつながりもあったのです。
美瑛は、風の強い日が多い地域。
開拓期には、広い畑を守るために、防風林として木々が多く植えられました。
ポプラはその代表的な樹種のひとつだったのです。
成長が早く、まっすぐ伸び、風よけとしての効果も大きい。
その働きぶりのおかげもあり、農地のあちこちにポプラが並ぶ風景が生まれたのです。



ポプラって防風林として植えられたんだね



ケンとメリーの木がその目的で植えられたかは分かんないけどね



人間の知恵ってやつだナ


↑冬のケンとメリーの木


↑美瑛(GoogleMAPより)
セイヨウハコヤナギ(ポプラ)の特徴と、木材としての性質
セイヨウハコヤナギは成長の早い木
先ほども触れましたが、ケンとメリーの木である“セイヨウハコヤナギ”は、広葉樹の中でも成長がとても早い種類です。
植えてから数十年で高さ20〜30mほどに達し、大きな樹形になります。
“早く育つ木”であることは、実はとてもありがたい性質。
防風林として採用されたのも、この性質が大きな理由のひとつです。


↑ポプラ(セイヨウハコヤナギ)並木
寒さや風に強く、環境への適応力が高い
そんなセイヨウハコヤナギは、寒さや風にも強い木。
また、湿り気のある土壌を好みつつも、根が広く張るため、一時的な土壌水分の変化にもある程度耐えることができます。
北海道のような“過酷な地域”でも育てやすい最たる所以です。



本州では大丈夫でも、北海道行ったらダメって木はあるんだロ?



それはあるよ。ヒノキとか北海道じゃ自生しないっていうよ。



ポプラって強いんだね
寿命はやや短めだが、増やしやすい
ポプラ類はあまり長寿な木ではありません。
栽培品種であるセイヨウハコヤナギも、数十年〜50年ほどで老木と見なされることが多く、幹の内部が空洞化してくる場合もあります。
ただし挿し木で増やしやすく、次の世代を育てるのが容易なため、“景観木として扱いやすい”一面もあります。
木材は軽く、反りが少ないため使いやすい
木材として使うことを考える場合、ポプラ材は全般として以下のような特徴を持っています。
・広葉樹としては軽い
・やや柔らかく、加工しやすい
・乾燥後の変形や反りが少ない
・木目が穏やかでクセのない見た目
・塗装や着色が均一に仕上がりやすい
このように、扱いやすさに優れた木材といえます。



柔らかいってことは、傷つきやすいってことにもなるんじゃないカ〜?



うん、まさにそれは注意点。トリさんおっしゃる通りみたい。



オレ、牙といだらダメだね


↑カットされたポプラの木
そのためポプラ材は身近なところで多く利用されています。
・家具の内部材
・引き出しや箱もの
・LVL(単板積層材)の原料
・パッケージ用木箱
・模型や工芸の素材
・楽器(主にエレキギターやベースのボディ材など)
実は、気にしないだけでポプラのお世話になっていることもあるかもしれません。
まとめ
観光スポット“ケンとメリーの木”の豆知識、いかがでしたでしょうか。
開拓期の風、北海道の気候、そしてCMで与えられた名前。
いくつもの背景が重なって、今の姿があります。
美瑛の丘でこの木を見上げる時、そういったことも踏まえてみると、よりこの観光スポットが面白くなるのではないでしょうか。












