「トトロの木」はいったいなんの木?|その正体と舞台モデルの日本の原風景

“トトロの木”はいったいなんの木?

トトロとメイが出会ったり、トトロがその上で大きく叫んだり、猫バスがその頂上に訪れたり──

物語の大きな起点になっている“トトロの木”。

果たして、あの木はどんな木なのかな?モデルはあるのかな?

見終わった後のほっこり感と共に、そんな素朴な疑問を持ったことがある方は、きっと少なくないはずです。

そこで今回は、あの「トトロの木」の正体について、木のメディアの視点から掘り下げていこうかと思います。

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もくメディア|トトロの木1
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もくメディア|トトロの木6
目次

トトロの木の正体

トトロの住む大きな木の正体は「クスノキ」

もったいぶらずに、まずはその答えから。

映画の中でトトロの住処として描かれているあの巨大な木は「クスノキ」とされています。

日本の暖かい地域に古くから根付いてきた、日本人にとっても馴染み深い広葉樹。

(物語の中でも、あの木がクスノキであることがサツキやメイの口から語られるシーンがあります)

そう、あのラピュタの世界樹のような空想の植物ではなく、日本にしっかり実在する樹種なのです。

↑蒲生(かもう)の大クス

クスノキは「どんぐりの木」ではない

ここで、ちょっと面白いギャップがあります。

トトロといえば、その“コミュニケーション”に使われるのはどんぐり。

夜にどんぐりの芽を育てるおまじない(?)をするシーンもありました。

そう思うと、「トトロの木もどんぐりが成る木なんでしょう?」と思うのが自然な流れ。

しかし、クスノキの実はどんぐりではありません。

秋になると黒くて小さな丸い実をつけますが、あの帽子をかぶったどんぐりとは全く別物。

ということは、トトロたち(中トトロや小トトロ)はわざわざ別の場所にあるクヌギやコナラなどの木から、あのどんぐりを拾い集めているわけですね。

そして、あのクスノキの洞(うろ)の家にせっせと貯め込んでいる。

そう想像すると、トトロたちがより健気で可愛らしく見えてきます。

↑クスノキの実

なぜトトロの住処はクスノキだったのか

トトロを包み込む「圧倒的な大きさと生命力」

では、なぜどんぐりの木ではなく、あえてクスノキが描かれたのでしょうか。

ここは想像ですが、それはクスノキが持つその「規格外のスケール」にあるのではないでしょうか。

クスノキは、日本の広葉樹の中でもトップクラスに大きくなる木。

大きなものは高さ30メートルに達し、巨木になると幹の太さは大人が何人も手をつないでやっと囲めるほどに成長します。

さらに、冬でも緑の葉を茂らせる「常緑樹」です。

一年中、鬱蒼とした緑のドームを保ち続けるその姿は、まさに森の主。

(ちなみに春になると、古い葉が散って新しい葉と入れ替わるという命のサイクルを持っています)

もふもふの巨大な精霊(?)が住む不思議さや、そして何とも言えない大きな安心感を与えるには、これ以上なくふさわしい木だったのだと思います。

神様が宿る森と「魔法の匂い」

くわえて、クスノキにはもうひとつの不思議な力があります。

それは、虫を遠ざける「魔法の匂い」。

クスノキの葉や枝からは、少しスーッとする独特の香りがします。

これは「樟脳(しょうのう)」と呼ばれる成分で、昔から天然の防虫剤として人々の生活を助けてきました。

多くの虫を寄せ付けにくく、虫に食われにくいことも、クスノキが何百年、時には千年を超えて生き抜くことができる理由のひとつと考えられています。

そして長く生きた巨大なクスノキは、古くから神社の「御神木」として大切にされてきました。

作中にある塚森もまた、頂上に神社がある神聖な場所でしたね。

虫を遠ざけ、気の遠くなるような時間を生き続ける。

こういった視点からも、もふもふの精霊トトロにぴったりの安全で魔法のような家に思えてきます。

↑熱海来宮神社の大楠

トトロの木のモデルはどこにある?

舞台のモデル・所沢に実在する風景

物語の世界観を知ると、「あの木のモデルになった実物があるなら見てみたい」と思うのが人情というもの。

『となりのトトロ』の舞台のモデルの一つになったと言われているのは、埼玉県所沢市周辺の狭山丘陵。

実際、狭山丘陵の一角、所沢市北野には「白旗塚」と呼ばれる小さな塚があり、その頂上には祠が祀られています。

その風景の中に映画の面影を探しながら歩くファンも多いとか。

一方で、特定の「この1本がトトロの木のモデル」というのは残念ながら見つからないようです。

しかし、日本全土を見まわすと、あちこちに大楠のそびえる「鎮守の森」のような原風景がたくさんあります。

もしかしたら制作チームの頭の中には、そういった景色があり、あの塚森の木として描き出したのかもしれません。

あなたの近所にも、トトロの気配が?

先ほども触れましたが、クスノキは、関東以西のあちこちの神社や公園でごく普通に見られる木。

つまり、トトロの木ではありませんが、トトロの木“的”な場所は意外にも近くにあるかもしれません。

今度、近所の神社などで空を覆うほど大きな常緑樹を見上げたら、落ち葉を一枚ちぎって匂いを嗅いでみてください。

スーッとした爽やかな香りがしたら、それはきっとクスノキです。

その大きな木のてっぺんにトトロの姿を想像してみるのも、心が温まるちっちゃなちっちゃな大人の遊びです。

おまけ|トトロの世界が感じられるアイテムたち

トトロの木の香りを嗅いでみる

(都会にいても)トトロの落とし物を拾った気分

ガーデニングにもどんぐりファンタジー

トトロの木のような巨木たちの図鑑

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この記事を書いた人

ユカワニ
ユカワニ

木が大好きな一級建築士。トリとイノシシと一緒に木の学びをお伝え。

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