冬の乾燥に、夏場の湿気。
四季がめぐる日本では、“湿度との付き合い方” は、くらしの中のひとつの課題。
“加湿器”や、エアコンの“除湿”をお使いの方も多いと思います。
(機械と使わずとも)
もっと自然に空気を調整できたらいいのに──
そんな願いに応えてくれるのが、木材なんです。
「木は生きていて呼吸をする」
こんな話をきいたことはないでしょうか?
でも正直「木が呼吸するってどういうこと?」「それって本当なの?」と、本音ではちょっと疑ってしまいたくもなります。
実際、目に見えないものは手放しでは信用しにくいものです。
しかし、仮にそれが本当だったら、木材は普段の空気を心地よくする “ワザ” として、ありがたい存在にランクアップするのではないでしょうか。
今回は、そんな “木の呼吸=木材の吸湿効果” について探っていこうかと思います。

除湿ガンガン、加湿器ガンガンに使ってるゾ。いきなりそんな話は信じれないナ



木は空気をよくするの?



うん、湿度を整えてくれる“調湿作用”があるみたいだよ。


↑今回参照にした書籍はコチラ
木材は水分をためこんでおける?
木は、もともとたっぷりの水分を含んでいます。
私たちが普段使っている商品となった木材は、その水分をしっかりと乾燥させたものです。
(これは乾燥させないと寸法の狂いや、ひび割れ、腐食、重量など、使い手にとって不便が多いからなのですが。)
つまりちょっとだけ見方をかえると、木材というのは、水をためこみ、抱えておくための構造を持った素材ともいえそうです。
なんだか、調湿作用の一端が垣間見えてきた気がしますね。



木って、水をためこんでおけるんだ



確かにもともと地中の水分吸ってたわけだもんナ



うん、水分ストッカーな側面もあるみたい
含水率|どれほど水を含んでいるか
しかし当たり前の話ですが、木材も無限に水分を溜めておけるわけではありません。
ここで登場するのが、含水率(がんすいりつ)という概念です。
その名の通り「どれだけの水分を含んでいるか」という指標になります。
そういった概念がある以上、次に出てくるのが
「どこまで(水分)を吸い込むか、そして吐き出すか」という境界線です。
その境界線こそが、木の調湿作用を語る上での本丸となる“平衡含水率”という考え方──
いわば、木が「ここまで水分を吸ったら落ち着くよ」「ここまで水分を吐いたら落ち着くよ」というポイントです。



へ、へいこう、がんすいりつ、、、?



木はある程度まで水をストックしておきたい性質なのカ?



そんなジャブジャブなイメージではないけどね
※もっと詳しく知りたい方へ
木の中の水分には2つのタイプがあります。
ひとつは細胞の壁と結びついている “結合水” 。
もうひとつは細胞のすきまにある “自由水”(本当はちょっと違いますが…)です。
そしてこのうち “自由水” がすべて抜けて、 “結合水” だけが残っている状態を “繊維飽和点” と呼びます。
図にあらわすと以下のようになっています。


平衡含水率とはいったい?|水分を出し入れし、丁度いいところに収まる
(水分)を吸い込むか、そして吐き出すか、という境界線。
平衡含水率(へいこうがんすいりつ)ですが、それはいつも一緒ではありません。
周りの温度や湿度によって、その境界線も変化します。
木の目線でいいますと、置かれた環境(湿度・温度)に応じて、水分を吸ったり、吐き出したりしながら、自分の中の水分量を調整しているわけですね。
そしてその特徴が、(同じ温度で)湿度が高くなると、木の平衡含水率もあがること。
つまり「湿気が多い時には木がそれを吸ってくれて、乾燥している時には木が湿気を吐き出してくれる」こう言えるのです。
これこそまさに「木は呼吸する=調湿作用」であったわけです。



湿度上がれば、湿気を吸ってくれるのカ〜



すごい仕組みだよね。天然の調湿器みたい。



オレ、そんなのぜんぜん知らなかった
※もっと詳しく知りたい方へ
下の図は気温と湿度によって、木材の平衡含水率がどう変化するかを示したものです。
図を参考にすると、日本の一般的な室内環境(温度10〜30℃、湿度35〜80%)では、木材の含水率はおよそ7〜16%というのが分かります。




他部材(コンクリートや石膏など)との調湿性能の比較
木材は、湿度を調整する力を持っている──
しかしここで疑問が浮かびます。
「果たしてその調湿作用は他の素材と比べてちゃんと優れているのか?」と。
安心してください。
木材の調湿作用は、私たちが思っている以上にすごいんです。
木材は、ビニールクロスやコンクリートといった一般的な建材と比べて、格段に多くの水分をためこめます 。
これは、もともと木が生きた植物として持っていた細胞構造──つまり水を吸い、出し、調整する体をそのまま活かしているからです。
実際、同じ湿度環境下でも、木材のような天然素材(とくに羊毛や皮革を含む生物材料)は、ナイロン・石膏・コンクリートといった非生物材料よりも、はるかに高い平衡含水率を示します。



だから部屋の中で木の板を貼る人がいるんだ!



なんダ。ただデザインで木を貼ってたんだと思ってたゾ〜



多分、こんなに意識している人は多くないと思うけどね。でも過ごしやすくなるのは確かだよ。
※もっと詳しく知りたい方へ
下の図は、各素材が相対湿度に対してどれだけの水分を含めるかを表した “吸着等温線” と呼ばれるもの。
木材(c)はナイロン(e)やコンクリート(g)と比べて、同じ湿度でもより多くの水分を蓄える力があることがわかります。


↑材料ごとの吸湿等温線(海青社「木材学」出典)
まとめ|木材の可能性
いかがでしたでしょうか。
木材の “吸湿・放湿” の調湿作用が、少し目に見える感覚として伝わってきたのではないでしょうか。
板張りの壁から、押し入れの中のスノコやハンガーまで。
何気なく使っていた木アイテム達は、隠れたところで、くらしの環境を整えてくれていたのです。



オレ、ハンガーは木のやつにする!



(…お前いったいどんな服持ってるんダ?)
【今回の記事で参考にした書籍はコチラ】










