縁起のものを、何気なく──
そういうふるまいは、ちょっとした“乙な人”を演出します。
言葉に何かがこめられている「言霊(ことだま)的なものへのセンス」
こういったものも、日常の中で小さな驚きや喜びを運ぶポイントになりそうです。
「そんなひとさまに贈れる“縁起アイテム”をひとつ、知っておきたいなぁ」
そう思ったときには、「南天(ナンテン)」という縁起木を知っておくと良いかもしれません。

↑この記事で参考にした書籍
南天(ナンテン)|縁起言葉がつまった木

ナンテンはメギ科ナンテン属の常緑低木。
原産地は中国で、日本でも暖地に野生しています。
ただしこれは、古くに渡来した栽培種が野生化したものではないかとも言われています。
さて、なぜナンテンが縁起木として親しまれてきたのか。
その最大の理由は、その「日本名」にあります。
ちょっと言葉を解いてみると──
難(わざわい)転じて福となす
ナルテン(万事成就する)
どうでしょう。
なんだか、身近に置いておきたくなる名前に思えてきませんか。
南天の使われ方いろいろ
そんな素晴らしい名前と意味を当てられたナンテン。
日本でも昔から習俗としても色々な場面で使われてきました。
①赤飯の上の飾りとして

以前は七五三や節句などの祝い事の時に、家で赤飯を炊き、重箱に詰めてナンテンの葉を一枚置き、親戚や近所に配ることが全国的に行われていました。
あずき色のご飯に一枚の緑の葉が添えられると、それだけで上質なものになる気がします。
ただビジュアルだけではなく、ナンテンの葉には「ナンニジン」という成分が含まれており、ご飯の熱と水分によって「チアン水素」を発生させます。この成分が、ご飯やおかずの痛みを抑えるという実利的な効果もあったようです。
②新年の生け花として

ナンテンはお正月の飾り付けにも活躍してきました。
ありがたい名前に加えて、かわいらしい赤い実は、昔から「映え(ばえ)」としても抜群だったのでしょう。
ナンテンが生花として使われるようになったのは室町時代のようで、その頃に著された生花の専門書「仙伝抄」には、「竹と一緒に合わせるとグッド」といった事が書かれているとか。
③その他|鎧びつ、掛け軸、魔除け
ナンテンの日本における活躍シーンは、それだけにとどまりません。
戦国自体には鎧びつ(鎧を入れておく蓋つきの箱)にナンテンの葉を収め、出陣の際には枝を床に挿し勝利を祈ったそうです。
また、江戸時代の百科事典『和漢三才図会(わかんさんさいずえ)』には、
屋敷の一角に南天を植え、魔除けとする
庭に植えると火災を避ける効果がある
と記されています。
まとめ|縁起アイテムであり、映え(ばえ)アイテム
いかがでしたでしょうか。
南天(ナンテン)は、昔の“縁起アイテム”であり、“映え(ばえ)アイテム”でもあったのです。

昔の日本の文化がなかなかと見られなくなってきた昨今ですが、こういった観点から捉えてみると、なかなかと面白いのはないでしょうか。
「今この時代だからこそ」の贈り物としても、センスを感じさせるアイテムになるかもしれません。

【今回参照にした書籍】


