
大自然の宝庫、北海道。
その北海道のなかでも、とびきり人気のある場所、美瑛の“青い池”。
空の青とも、海の青とも違う、“ミルキー”な青。
天気や季節によって色が微妙に変わるため、行くたびに表情が違って見える自然の神秘。
そんな青い池の写真を撮ろうとすると、必ずと言っていいほど写り込むものがあります。
それは、池の中にまっすぐ立った、色のない木たち。
あの木たちをみて、
「この木は枯れているのかな?」「そもそも、あの木って何の木なの?」
そう思ったことのある方も、きっと多いのではないでしょうか。
今回は、青い池の象徴にもなっている“立ち枯れの木”について、その成り立ちの謎を掘り下げていこうかと思います。
青い池に立つ木の正体は?その木はなぜ枯れているのか?
青い池に立つ木の正体は?
まず、あの木の正体はいったいどんな木なのでしょうか。
その多くを占めるのは、主にカラマツです。
寒い環境でもよく育ち、まっすぐ伸び、秋には黄金色に染まり、 冬には葉を落とす──
日本では珍しい“落葉する針葉樹”です。
青い池のまわりに、同じ高さのカラマツがきれいに並んで見えるのは、 もともとここが“植林された人工林”だったためとされています。
歴史をひもとくと北海道では、“寒さに強く成長も早い”カラマツは木材として重宝され、戦後の造林事業で多く植えられてきました。
(どうやら、電柱・橋梁材・杭材などの用途で、特に重宝されてきたみたいです)
それは、この美瑛地域でも例外ではありませんでした。
いま池の中に残っている立ち枯れ木は、 その人工林の名残が、偶然に景色として残ったもの。
そんな歴史的な背景が、この青い池の独特の佇まいをつくっているんですね。

↑雪の中のカラマツ
なぜ“水の中に生える”ことになったのか?
“青い池”にあるカラマツたちも、もともとはしっかり根を張ったカラマツの林でした。
それではなぜ、カラマツたちが“水の中に立つ”事態になったのでしょうか。
その風景が変わりはじめたのは、十勝岳の噴火による泥流災害をふせぐため、川の途中に“堰堤(えんてい)”という、小さなダムに似た防災設備がつくられたことがきっかけです。
この堰堤がつくられたことで、水がせき止められ、今の「池」のかたちが生まれたと言われています。
それにあわせて、そこに生えていた木々の根も、ゆっくりと水の中につかるようになっていったのですね。
なぜ“立ち枯れ”になったのか?
そんなカラマツ。
冷たい土地には強いのですが、じつは“湿った土地”は苦手です。
根が長いあいだ水に沈んだままだと、酸素が届かなくなり、やがて立ち枯れてしまいます。
それでも木は倒れず、まっすぐの姿のまま、池の中に残ったのが今の姿なのです。

↑ライトアップされた青い池
青い池が“青く見える”メカニズム
さて、その一方で、あの“青い池”はなぜ青いのでしょうか。
“青い池”について話す上で、ここは切り離すことはできませんね。
答えは、この地域ならではの「水」と「地質」にあるようです。
白金地区の「白ひげの滝」などから流れ出る湧水には、水酸化アルミニウムなどの成分が含まれています。
この水が、美瑛川の水と混ざり合うとき、コロイドと呼ばれる細かな粒子が生まれます。
太陽の光がその粒子に当たると、青い光だけが散乱して強く見える。
その仕組みが、あのファンタジーのような“青”をつくっているのです。
見た目はファンタジーのような青、でも本当は科学のお話だったわけです。

まとめ|青い池の成り立ちの正体
開拓の中で植林されたカラマツ林。
防災工事が生み出した偶然性。
地形や水の成分が生んだ、青い色。
それら条件が“たまたま”同じ場所に並んだ──
それが青い池とカラマツの立ち枯れの正体だったのです。



