
パンダが美味しそうにバリバリと齧っている緑の葉っぱ。
そして、春になると食卓に並ぶホクホクの筍(たけのこ)ご飯。
そんな写真や映像を見ていると
「あれ?パンダが食べているのは笹?」
「タケノコは竹の子供?」
「あれ、そもそもこの二つって同じもの?」
こういった疑問が頭をよぎった方もいると思います。
どちらも真っ直ぐで、葉っぱの形もそっくり。
日常の中で当たり前のように「竹」や「笹」と呼んでいますが、いざ違いを聞かれると少し戸惑ってしまいます。
今回は、そんなそっくりな彼らの「違い」について紐解いていこうかと思います。
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お急ぎの方のために、先に答えだけをまとめておきます。
竹:成長すると茎の皮が落ちる。節から伸びる枝は2本。太く高く育つ
笹:成長しても皮が残る。節から伸びる枝は3本以上。 細めで背は低め
見た目で迷ったら、茎の「皮」を見るのが一番確実。
このあとの漫画と本文では、なぜそんな違いが生まれたのか、彼らの「生き方」をゆっくりご説明していきます。
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そもそも竹と笹はどう違う?|同じに見える理由と、異なる「生き方」
風に揺れる細ながい葉っぱ、中が空洞になったスマートな茎。
さらに、地面の下で「地下茎(ちかけい)」という根を横へ横へと張り巡らせて繋がっている構造まで、竹と笹はそっくりです。
(地下茎のからくりは竹林は巨大な生命体?!で掘り下げました)

それもそのはず、植物学上、このふたつは「イネ科タケ亜科」という全く同じグループに属しています。
いわば同じ家系に生まれた双子のようなもの。
世界的に見ればどちらも同じ「バンブー」として扱われることも多いのですが、日本では古くから「竹」と「笹」を別のものとして区別して呼んできました。
それはなぜなのでしょうか?
実際にこの2つの違いを見ていきましょう。

↑竹の地下茎のイメージ
① 人間の暮らしでの「役割」
ひとつは、日本人の暮らしとの関わり方の違いです。
私たちの祖先は古くから、それぞれの持ち味を活かして用途を分けてきました。
天高く太く育つ竹は、建材や水筒、カゴなどの「道具」として重宝してきました。
一方で、笹の葉には抗菌性を示す成分が含まれることが知られており、ちまきなどの食べ物を包む「包装」や、屋根を葺く材料として使用してきました。
こういったように生活の中での役割が大きく違ったため、自然と名前を分けて扱ってきたのかもしれません。

↑天高く育つ竹
② 環境に合わせた「適応のしかた」
そしてもうひとつは、彼らが自然界で「どのように環境に適応してきたか」という違いです。
竹と笹は、どちらも茎の内部に硬い繊維が詰まった非常に丈夫な構造をしています。
しかし、その「強さ」の活かし方が少し違います。
一般的に、竹は温暖な地域で「高く、早く」成長して大型化するためにその強さを活かしています。
これは身軽になるために皮を脱ぎ捨て、空に向かって一気に伸びて太陽の光を受ける作戦にも感じられます。
(そもそも竹はなぜあんな速さで伸びられるのか?その理由は年輪のない竹が「木のように硬い」秘密で、“細胞のつくり”から説明しています。)

一方で笹の仲間には、雪深い北国や風の強い高い山の上など、寒冷地や厳しい環境にも適応している種類が多く見られます。
こちらは、あえて高くはならず、皮を着たまま寒さに耐え、冬には深い雪の重みで押しつぶされてもポキリと折れない「しなやかな強さ」を持っているようなイメージでしょうか。
そんな風に彼らの生き方を想像してみても、私たちが竹と笹を別のものとして扱ってきた理由に、なんだか納得できる気がします。

↑雪にも負けない笹
竹と笹の見分け方
では、そんな竹と笹を、どうやって見分ければいいのでしょうか。
以下にご紹介する3つのポイントが代表的な見分け方としてよく使われています。
ポイント① 茎の高さや細さ(シルエット)の違い
まずは、(先ほども少し触れました)遠くからでもわかる全体のシルエットのお話です。
一般的に、竹は空に向かって数十メートルも高く伸びていきます。
茎も太く、しっかりとした柱のようになります。対する笹はそこまで背が高くならず、茎も細め。
ただし、笹の中にも「チシマザサ」のように数メートルまで大きく成長する種類があります。
さらに、名前にササとつくのに実は竹の仲間だったり、その逆だったりする例外もあります。
「じゃあ、どうやって確実に見分けるの?」と思ったときに役立つのが、次のポイントです。

↑笹
ポイント②節から伸びる「枝の数」の違い
もう少し植物に近づいて観察できるなら、「枝」を見るのも面白い見分け方です。
茎にある「節(ふし)」の部分に注目してみてください。
竹は、ひとつの節から「2本」の枝が伸びているのが基本です。
対する笹は、ひとつの節から「3本以上」の枝がわさわさと放射状に伸びるという特徴を持っています。
節から出ている枝の数を数えてみると、正体がわかるかもしれません。

ポイント③ 成長すると「皮」が落ちるか、残るか
そして最も定番で、かつ確実な違いと言えるのが、茎を包んでいる皮の行方です。
見た目で迷ったときは、足元の茎を確認するのが一番確実な方法になります。
タケノコがぐんぐん背を伸ばしていく姿を想像してみてください。
竹は、成長の役目を終えた皮をツルリと脱ぎ捨てます。大人になった竹の幹がツルツルしているのはこのためです。
一方で笹は、成長しても皮を着たままです。枯れるまで茎に皮が張り付いています。
温かい場所で身軽になって空を目指す竹と、寒い場所で生き抜くために服を着続ける笹、というように受け取ってみると、この皮の仕組みにもなんだか愛着が湧いてきます。

日常のギモン。身近なアレは「竹」「笹」どっち?
竹と笹の個性がわかったところで、最初の疑問の答え合わせを。
私たちの身近にあるあのシーンでは、どちらが活躍しているのでしょうか。
タケノコご飯になるのは「竹」「笹」どっち?
春の味覚である、あの大きくてコロンとしたタケノコ。
これはその名の通り「竹」の子供です。主にモウソウチクという種類の竹の若芽を私たちは味わっています。
実は笹にもタケノコはできるのですが、細くて小さいため、山菜として一部の地域で親しまれる以外は、お店に並ぶことはほとんどないようです。

↑孟宗竹(モウソウチク)
パンダが食べているのは「竹」「笹」どっち?
動物界の人気者パンダ。彼らは一体どちらを食べているのでしょうか。
実はパンダは、竹も笹も両方食べます。
中国の自然豊かな山岳地帯には様々な種類が自生しており、パンダは地域や季節によって食べる種類を変えているのです。
ただ、パンダが暮らす標高の高い寒いエリアには、寒冷地にも強いササの仲間や小型のタケ類が多く生えているため、それらが彼らの重要なごちそうになっています。

七夕の飾りに使うのは「竹」「笹」どっち?
最後に、夏の風物詩である七夕の飾りです。これに一般的に使われているのは「笹」。※ただし「竹」が使われることもあります。
童謡でも「ささの葉 さらさら」と歌われていますよね。
ホームセンターなどで手に入るのも、一般の家庭で扱いやすいサイズの笹です。

まとめ|竹と笹の違いを知って、日常や七夕をもっと楽しもう
いかがでしたか。
なんとなく違いをお分かりいただけたでしょうか。
ツルリと皮を脱いで身軽に空を目指す竹と、皮を着て雪の重みや寒さに耐える笹。
次にタケノコを食べるとき、パンダを見るとき、そして笹の葉が使われた料理をいただくとき。
そんな彼らの適応の違いも思い出していただけたら幸いです。
おまけ|竹と笹を感じるアイテムたち
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