板目(いため)柾目(まさめ)という言葉をご存知でしょうか。
「なんだか職人さんの “専門用語感” があって、近寄りがたい」
もしかしたらそう感じられる類(たぐい)の言葉かもしれません。
ですが、ざっくり言いきってしまうと “切り方”の違いによる木目(もくめ)の違い です。
おもしろいのは、(異なる種類の木で『見た目・性質』が変わってくるのは想像できるかと思いますが)実は同じ種類の木でも“切り方”によって“見た目・性質”が変わってくるのです。
今回のテーマはそんな『板目(いため)柾目(まさめ)』についてです。
木の表情だけでなくその特徴まで分かると、より木への納得感・感謝感が増すかもしれません。
※もくメディアは少し難しめの話を【補足】項目として盛り込んでおります。
分かりやすく書いたつもりですので、ご興味のある方は参考にされてください。
もっと木材が面白くなるはずです。

板目と柾目の違い
さてまずは板目と柾目の違いを見てみましょう。
まずは、板目(いため)から。

次に、柾目(まさめ)です。

どうですか?なんだか木目が違ってみえませんか?
①表情の違いは“切り方”の違いから
みなさんは、どちらの表情が好みでしょうか?
板目は、自然なうねりがあって、ちょっとダイナミックな感じ。
まるで自然の流れをそのまま切り取ったようなイメージです。
一方、柾目はスッキリとした直線的なライン。
でも機械的な印象ではなく、自然が作った凛した整然さです。
どちらにも、良さがありますよね。
実はこのふたつ、表情こそ違いますが、別々の木ではなく同じ木からとれるものなんです。
では、なぜこのような表情が違う目ができるのでしょうか。
それは木材の切り方に秘密があるのです。
②板目、柾目の“切り方”
まずは板目の切り方からです。下の写真を見てください。
板目を出すには、丸太の中心を含まずに切るイメージです。


次は柾目を出すための切り方を見てみましょう。
柾目は、丸太の中心を含んで切るイメージです。


どうでしょう、違いがわかりましたでしょうか?
このように材の切り方によって、出てくる木目の表情が異なるんですね。
では、柾目と板目の板、違うのは表情だけなのでしょうか?
③反りの違い
実は、『反り』がこの二つの材で違います。
板目の方が『反り』が出やすく、柾目の方が『反り』は出にくいです。
【補足】なぜ板目の方が『反り』が出やすいか?
木材は乾燥すると収縮します。それは、木材の中に含まれている水分が抜けていくからです。
※繊維飽和点を超えた『結合水』の乾燥で、収縮がはじまります。
その際、木材は表面に近い部分と中心に近い部分で収縮量 が異なります。板目で切られた板は、『木の表面側の面』 と『木の中心側の面』ができます。
このため、板目は『反り』が発生しやすいのです。一方、柾目(まさめ)で切られた板は、『木の表面側の面』 と『木の中心側の面』ができません。
つまりはその整然とした表情よろしく、基本的に反りは少ないのです。
④耐水性・調湿性 の違い
また、もうひとつよく言われる違いがあります。
それは『水への強さ』です。
板目は水に強く、柾目は水を吸収しやすい(=吸湿性がある)と言われています。
たとえば昔は水に強い板目の板を使って、樽(たる)を作っていたり、
また吸湿性のある柾目の板を木箱にして、大切なものを保管していたりしました。

↑ 板目を使った耐水性のある木樽
⑤価格の違い
そして『金額の違い』も気になるところです。
ここで鍵になるのも『切り方の違い』です。

上のスケッチはイメージですが、柾目(まさめ)材は、板目(いため)材ほど一本の木から多く取れません。
そのため、柾目(まさめ)の材の方が、金額も高価になるのです。
使い分けについて
それでは、次はカンタンに、柾目(まさめ)と板目(いため)について、その違いを頭の片隅に入れた状態で、シチュエーションごとにどちらの材料が優れているか考えてみましょう。
例えば
・『反ってほしくないまな板』には、柾目(まさめ)ですね。
・『自然のダイナミックさの演出』には、板目(いため)の方が良いかもしれません。
・一方『スッキリとした“凛”とした雰囲気』には、柾目(まさめ)。
・『ちょっと何か保管しておきたい』時には、“調湿作用” のある柾目(まさめ)の出番。
・「両方とも素敵、今回はコスト重視!」の時には、板目(いため)の出番。
どうですか?ちょっとずつ分かってきた気がしませんか?

↑ 耐水性を求めた板目のフードプレート
まとめ| 木は建材でありながら、魚や野菜のよう
いかがでしたでしょうか。
『板目と柾目』を考えてきましたが、実はその表情だけではなく性質によっても使い分けができるわけですね。
木材は“材料”ではありますが、その一方で、部分による違い──
「この部分は脂が乗ってて美味しい」
「この部分はかたくて繊維っぽい」など、
その非単一性は、お魚や野菜に近いようにも思います。
「木を上手に使うぞ!」という先人の方の想いが伝わる、“ありがたみを感じる”テーマです。



